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ご挨拶のやうなもの


ずっとネット・ホームレスだった。
WEBのあちこちで色んなモノを書いていたくせに、
ホームページという「家」を持たずにいた。
ひとつのことに没頭すると他のすべてがおろそかになるタチなので、
自分で自分に禁じていたのだ。
カキモノそっちのけで「家」に夢中なんてことになりかねなかったから。
だから、初めての短編集が発売されるときも、本をPRする場所がなかった。
見るに見かねて、出版社がプロモーション用のサイトを作ってくれた。
ネットの仲間達がそれぞれに、さまざまな宣伝を打ってくれた。
嬉しくて、ありがたくて、あたしはブラウザに向かって、何度も何度も頭をさげた。

今度「ブログ」というものができるから、それを試用してみないか。
そう声をかけられたのが、2003年の春のこと。
ブログとは「マイホーム」ではなく、「間借り」のようなものらしい。
それで、おそるおそる手を出した。
そのブログがいつのまにか、2つになり3つになった。
ほぼ毎日(毎夜中)、WEBに向かってコトバを並べていくうちに、
いつしか時代はブログ全盛期となり、気がつけば残してきたコトバたちは、
自分でも掌握しきれないほどになっていた。

なんだか駆け抜けるように書いてきた。
ふと、そんなコトバが浮んできた。
ここからまた駆けていくのか、駆けていくのはこの道でいいのか。
ちょうどそんなことを思って首をひねっていた時に、またまた声をかけられた。
プロモーションサイトを作り直しましょう。
それならば、と、公式WEBをイチから作り直すことにした。
立ち止まって、ひとつの区切りをつけるために。

 

というわけで。
このWEBは、あたしにとって初めて持つ「家」のようなもの。
相変わらず、その制作や管理は自分の手によるものではないのだけど、
それでもコンテンツとかデザインとかすべてのことに係わって、
あれこれワガママを言い通した。
まるで自分の家を新築するかのように、真剣に。
だからというわけじゃないのだけれど、
しばし、この家に落ち着こうと思っています。
今までWEBを駆け回っていた足をとめ、腰を据え、
自分の内側に耳を澄まして言葉を綴る。
そんな時間を増やすために。
もしかしたらこれは、時代に逆行するようなことかもしれないけれど、
もともとオキテ破り好きなアマノジャクであるもので、
そのあたりをご存知の皆さんは、さもありなん、と笑って下さるのではと思っています。

だから。
時々のぞきに来てください。
小さなドールハウスみたいなこの家を。
小さな書斎の小さな窓をあけて、声をかけてください。
いつでも、あなたのお好きなときに。

あたしはいつもここにいます。

 

さて。
ここでちょっとご紹介したいヒトが。
この頁の左上にちょこんと座っている彼。(女の子みたいに見えるけど、男の子なの)
その名も「脳下垂体」クン。
実はここに置くワンポイント画像がなかなか決まらなくて、
何千何百という写真を見たものの、コレというものが見つからず。
それが、もうタイムリミットという時になって、出会ってしまったのです。
引き合わせてくれたは、なんとこのWEBを制作して下さったスギモトさん。
彼女がたまたまひょいっと撮った写真に写っていたこの人形に、
ヒトメボレしたあたしは熱烈ラブコールを送ったのでした。
人形の持ち主はスギモトさんの隣人であるヨクックさん。
脳下垂体くんは、高校時代の友人が描いた絵を元にヨクックさんが作ったものなのだそう。

しかし何故に「脳下垂体」なのか?
この写真ではよく分からないけど、実はアタマの部分が剥き出しの新聞紙で、
それを見ると「なるほど脳下垂体かも」とつい納得してしまう。
なんにせよ、人形でありながら甘すぎず、ちょっとクールで物憂げで、
まるでここではないどこかに属しているかのようなその佇まいは(もちろん名前も)、
まさにあたしが探していたものでした。
これも「出会い」という奇蹟のなせる業。

考えてみれば、あたしはずっと「出会い」に助けられてきたような。
本を出してもらってモノカキのはしくれ(端の端だけども)となったのも、
実生活の行動範囲内では知り合えないような(元々人見知りだし)人たちと、
親しくつきあうようになったのも、WEBをきっかけとした「出会い」のおかげ。
特別何かを仕掛けたわけでもなく、特別なオフ会等があったわけでもなく、
偶然必然が重なっての出会い。
このWEBとて、縁あって知り合った皆さんのお力なしにはとうてい出来なかった。
WEB制作のスギモトキョウコさん、脳下垂体クンの産みの親・ヨクックさん。
そして「溺レルアナタ」の表紙を飾るドールアートの制作者・宮崎郁子さん。
新装開店したブログに写真を提供してくれた友人でありデザイナーであるmizuki。
日々のサポートだけじゃなく、ついにWEBにまで引っぱりだされてしまったミメオ。
どうもありがとう。心からの感謝を。

そして、今までWEBのあちこちに飛んでいっては、
カキモノを読んでくださっていた皆さま、ほんとうにありがとうございました。
皆さんと出会えたことは、あたしにとって何よりも嬉しいことでした。
ひとところにまとまった分だけ、これまでよりは楽に読んで頂けるかと思うので、
これからもまたご愛顧のほどを。
もちろん、ここで新たに出会う「初めまして」のあなたも。
どうぞよろしくお願いします。


                          2005.12.24 夢見荘にて。
                                   田川未明


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